まずは浅草東洋館にて、事前に摺り合わせして決めさせて頂いたネタを文字起こしした台本をお渡しし、その場で簡単な読み合わせ。
そして立ちでの稽古をお願いしようとすると…
「大丈夫でしょ。木曽くんに筋を話して貰って、俺は適当に相槌を打つからさ、気になったところで突っ込んでくれたらイーから」
…これで稽古は終了。。。
私はこいる師匠に訊きました。
「えっ、のいる・こいるの時ってどんな感じなんですか?」
するとこいる師匠はこう答えました。
「あんまり稽古するとつまんなくなるでしょ。新しいのやる時は多少確認程度にやることはあるけどね、基本はやんないんだよ」
エー!?
昭和こいる師匠とは…ぶっちゃけますと“立ち稽古”はなし!
そのまま当日を迎えることとなりました。
ここまでの漫才人生における私の常識は…新ネタを作る→覚えるだけじゃなく、間とか言い回しを検討すべく何度も何度も稽古→本番→あまり受けなかったところを修正しつつまた稽古…こんな感じでした。
Wコロンの末期はそれどころじゃなかったので、セリフ合わせを数回やったら終わり、みたいな時期もありましたが…基本はそういう認識。
ここはもう、長年に亘り築き上げて来た関係性に因る所が大きい訳ですが…それを踏まえても私とは初めての漫才ですから、少なからず不透明な部分がある筈なのに、なのである。
〔これがベテランの器なのか〕
但しこいる師匠は“大丈夫”だと思えても、私自身が…私自身を信用出来ないので、その不安は大きくなることはあっても、小さくなることは全くありませんでした。
そして迎えた当日。
こいる師匠以外の4人のゲストの皆さんには、無理言って早めの時間に集まって頂き最終のネタチェック。
劇場の上にある稽古場を押さえ、私は組手の如く絶え間なく4人のゲストの皆さんとネタ合わせ。
来て下さった4名のゲストの方々は、自分の稽古以外の時間は待ちになる。
それでも皆さん、嫌な顔1つせず付き合ってくれました。
さすがにその中にこいる師匠も…というのは失礼が過ぎるので、ある程度4名の方々との稽古が終わる時間を見計らって…会場に入って頂くことにしました。
…と思ったら、お伝えした時間よりうんと早くに来ちゃいましたっけど。
早くいらっしゃったのは私と稽古をするためかと思いきや、そうではありませんでした。
2023年08月12日