アメリカは、やはり変わった国です。
アメリカ独自のジャンルである「カントリー・ミュージック」は、強固にこの国の「音楽(とホワイトの意識)の基盤」を固めているし、
ブラックのヒップ・ホップは、今回ご紹介するMVのように、ホワイトの「テレビ・シリーズ」をパロディーせざるを得ないという。
などと、シビアな話をしつつ…な
【川村ケンスケの「音楽ビデオってほんとに素晴らしいですね」】
今日の一組目、その「一方のかた」は…
Madeline Merlo。
カナダの人ではありますが…。
カントリー・ミュージックのシンガー・ソング・ライターです。
その新作音楽ビデオ/MV/ミュージック・ビデオが、とにかく「アメリカ」!(笑)
(なんども書くけど、出身はカナダですが)
Madeline Merloで「Motel Flamingo」!
(2017/8/7公開 14,591回再生中@2017/8/22時点)
底抜け!ですね。
画質がいいとか悪いとか、
チープかどうか、
ということはさておいて。
これが、アメリカ向けの「カントリー・ミュージック」の表現の平均値、なのだろうなあ、と、思う仕上がり。
書き込みにも…
「素敵な夏の歌!」とか「MV最高!」ってあったり。
日本から「俯瞰」すると、
「そんなに、いいかな…?」
って、思う…。
でも、これがやはり、アメリカの「ホワイト」に刺さる音作りなんでしょうねー。
きらいではないですが(笑)。
当然、このMVに「ブラック」は出てこない、と…
(ん?モーテルの人は「ブラック」か?スパニッシュなのかも…)。
それに対し、
いま新作ビデオを連発している、親分!Jay-Z。
このブログでも、注目しております。
そのJay-Zの、最新MVが、物議!(と、わたくし思っております) 「Moonlight」!
(2017/8/10公開 2,668,868回再生@2017/8/22)
典型的なアメリカのコメディーを再現というかパロディーしています。
もちろん、一筋縄でいくわけもなく、後半は「むむむ?」な展開。
わたくしの好きな「ドラマをドラマに入れこむ…『メタ』表現」になっています。
これは、音楽ビデオの「芸」の一つに数えてもいい演出法。★「劇中劇」芸★ですね!
wikipediaで「メタ」を調べると…
広義に、何かを取り込んだ何か、何かについての何か、といったものがメタと呼ばれる場合がある。
という記述がありまして。
つまりこの場合でいうと、
「アメリカのコメディーTVについてのMV(このMVは、TVといっても良いはず。MVもTVの同類だから)」
と言えるでしょう。
このMVが出来上がっていく際の「どういう趣旨?とか、どういう経緯で?」問題は、以下の記事に詳しいのですが。
かいつまめば…
このMVのディレクター、「いやーきっと無理だろうなー」っていう感じで、
「アメリカの超メジャーな「シットコム」…まあ連続コメディードラマですね)…「フレンズ」を、役者全員「ブラック」でやる」
…という企画(とも言えない、簡単なレジュメみたいなもの)をプレゼンしたら、
Jay-Zがいたく感動し、一発OK!
やがて制作が進むと、Jay-Zは、喜びのあまり泣いてしまうほどだったらしい、ということで。
「フレンズ」は、
(このMVの中で言及されていますが)
「フルハウス」や「ファミリー・タイズ」といった、アメリカのコメディー連続ドラマというジャンルの中の一つで。
もちろん、ご覧になったかたも多いと思います。
かの有名な「The Cosby Show」…
は、「ブラック」が主役の「異例な」コメディーだったわけですが、
それとは違う、ちょっと「異様な」雰囲気がただようこの「Moonlight」のMVです。
主人公は、「これがお前のやりたいことか!」と、問われ続け、
(つまり、「ホワイト」がフォーマットを作った「コメディーTV」の中で、「ブラック」がその「フォーマット=ホワイト」を真似て、ニコニコ笑っているのは、なんでだ!、と問われ)
スタジオからふらっと抜け出して、そこからようやくこの「Moonlight」という曲のシーンに移行する、という。
いやー、辛辣だ。
かつて、ソウルの帝王、ジェームズ・ブラウンは、この彼の「自伝的映画」I Got You の中で描かれたように…
このトレイラーの 1:24くらいに、そのシーンがあります。
もちろん、意味がわかるほど、そのシーンが長くは入っていないので、ちょっと説明すると…
テレビ番組に呼ばれたジェームズ・ブラウン(以下、JB)は、
典型的に「ホワイト」が楽しむ「山小屋、スキー」な設定がされた「スタジオ」で、自らの曲を歌い、踊るのですが、
その最中に…
JBは、ふと「自分で自分に問いかける」のです。
「おれは これで いいのか」
と。
(誤解を恐れずに言えば「白人にへつらったような態度で、やっていけるのか?」と疑問に思った、ということでしょう)
スローモーションを効果的に挟みながら、JBの「心象」を描き出した、そのシーンが、この映画で最もスリリングなところだった、と、記憶しているのですが。
YouTubeに実際に残っているこのJBのテレビスタジオのシーンも、そこまで「ピリピリ」してませんが、要はこういうことだったのだろうと思います。
Jay-Zの「Moonlight」で描かれた気持ちを、JB的に言えば、「I'm black I'm proud」!
ということなんでしょう。
この映像も、そういう意味ではすごいなあ。
おっと、話がそれました。
カントリーVSヒップ・ホップっていっても、根が深い。
とても我が国では考えられないような「バックグラウンド」がある気がしてしまう今日の…
See Your Music!
でした。
【川村ケンスケの「音楽ビデオってほんとに素晴らしいですね」】
ね、どうでしょう、
BRUTUSさん…
(BRUTUS最新刊)
サンレコさん…
(サンレコ最新刊)
ベストヒットUSAさん…
こんな視点のブログ、いいですよね?(自画自賛)
最近は…
こういう風に、いろんな「観点」から、音楽ビデオ/MV/ミュージック・ビデオを紹介していく「テレビ番組」とか、もうないしね!と思い。
かつて、テレ朝系でやってたときのMTVの1時間番組は、そんな感じで、「あー、この音楽ビデオを見たらいいのか!」って、一つの基準になってたなあ、と、思い出しました。
そんな気分で、毎回この【川村ケンスケの「音楽ビデオってほんとに素晴らしいですね」】を書いています。語り口の声は小林克也さんをイメージしてますが…。
このブログが、新しい音楽ビデオ・映像の発見の場になれば!と、思っていますー。
最後は、映像関連のブログもしくは番組らしく…
淀川さん調で…
「では、またお会いしましょ。さよなら、さよなら、さよなら…!」
(淀川さん、いいなあ…)
で、
ついでに、わたくし川村ケンスケ a.k.a.映像大好きkkの「音楽ビデオ/映像論」を読みたい方は…
こちらもぜひどうぞ!
今日のブログが1日早く読めてたり、違う話題が触れられてたり、しています。
この「映像大好きkk a.k.a. 川村ケンスケ」は、こういうブログを書くことが専門ではなく、実は、いろんな種類の映像の仕事をしております。
それらの映像を、プレイリストにしてみました。
お茶のお供に、ぜひどうぞ。
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インディーズ音楽の「映像」を専門に「公開」「制作」しています。
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