れらpです。
前回のエントリーで「NMBの須藤凜々花さん結婚発表にケチつける奴はなんなの?」という記事を書いたわけですが、どうやらここに来て潮目が変わってきたようです。
日本社会、もしかしたらまだまだ捨てたもんじゃないのかも!?
さて、そんなメジャー芸能界の騒動を後目(しりめ)に、今回はレッドオーシャンで不屈の活動を繰り広げる"創作界隈"の人々のお話と、クリエイターの密かな思いを綴ってみたいと思います。
■世界でも稀にみる"創作天国"日本は、アマチュアなのに追い詰められる修羅の世界
ニコニコ動画、Pixiv、小説家になろう、comico…。
これみんなアマチュアクリエイターたちの作品発表の場です。
音楽、イラスト、小説、漫画…ここ日本では、さまざまなジャンルの創作物を発表する空間があります。
たとえ自分にピッタリの投稿サイトがなくても、今やSNSの時代。ツイッターやFaceBookでいつでも自由に作品を発表できます。
Ustream(もう廃止になるそうですが)やツイキャス、ニコ生などいわゆる配信サイトで、人気声優さんのボイス物真似をして楽しむ「声真似」なんていうジャンルすらあります。
ちなみに我が『イケてる大人計画』でも『1000人TV』というチャンネルをYouTubeに持っていて、1年365日、日本のトップアーティストたちの楽曲カバーを発表していたりします。
★こちらは一例…なぜこれらを紹介するかは察してね!笑★
なんでもないや (movie ver.) - 武田 祐介(RADWIMPS)【5月24日 バースディ・イブ・ミュージック】1000人TV
セーラー服と機関銃 - 薬師丸ひろ子【6月9日 バースディ・イブ・ミュージック】1000人TV
Let It Go - 松たか子【6月10日 バースディ・イブ・ミュージック】1000人TV
secret base ~君がくれたもの~ - TAKAYO(ZONE)【6月13日 バースディ・イブ・ミュージック】1000人TV
こんなに自由に創作物を発表できる国、他にありません。
もちろんアメリカや欧州諸国、いわゆる西側先進国の人たちだって、YouTubeをはじめとした同じようなインフラを持っているわけですから、投稿しようと思えばいくらでも投稿できるわけですが、問題は世間が受け入れるかどうか。
たとえばフランスは、欧州の中でも日本カルチャーの人気が特に高い国として有名ですが、かの国でたとえば「萌え絵」をどこかのサイトに投稿したって、日本ほど社会に受け入れられるわけではありません。どっちかというと白い眼で見られる可能性のほうが高い(下手したら児童ポルノで逮捕される可能性すらある)。
僕はニューヨークやワシントンDCでも少しだけ地元民と一緒に生活してみたことがありますが、街中でアニメやらなんやらに触れる機会は1ミリもありませんでした。
本屋に行ったって、日本のTSUTAYAみたいな雰囲気は一切ありません(今なら少しはあるのかな?)。
ボカロなんてそもそも海外ではほぼ存在しない音楽ジャンルですから「初音ミク」とか言われても、一般の人は( ゚Д゚)ハァ? って感じですね。
要するに海外では「JAPAN EXPO」とか「ニューヨーク桜祭り」とか、特別な時じゃないと、僕らが普段当たり前のように楽しんでいるいわゆるクールジャパン系の創作物に触れる機会は皆無なんです。
つまり、海外在住の外国人オタクたちは、今この瞬間も"陰ながらひっそりと"暮らしている。かわいそう|д゚)
裏を返せば、いま日本に住んでいる僕らは、世界でも稀にみる「自由に創作が出来て、自由に作品を発表することができる社会」に暮らしている、わけで。
音楽制作やイラスト描画が大好きな僕みたいな人間にとってはまさに天国!なんです。ありがたや~。
でも、実はいいことばっかりじゃありません。
あまりにも自由すぎて、アマチュア創作の世界はすでに過当競争。レッドオーシャンに波浪警報発令中!なんです。
そりゃ誰だって-アマチュアだろうがプロだろうが-自分の作品は少しでも高く評価されたいですから、こういった創作発表サイト上での「ランキング」とか「評価(=いいね数とか)」を、どうしても気にするようになる。
まあプロが評価を気にするのは当然です。それで飯を食っていかなきゃいけないわけですから(ただ、プロはそもそもこういった創作サイトでは原則作品を発表しません)。
問題はアマチュアの皆さん。
本来は、自由に作品を発表して楽しめればいいだけのはずなのに、いつの間にかこうした「他者との比較」に悩み苦しみ、SNS上でアゲたりディスったり、挙句の果てにトラブって人間関係を壊したり、なんてことが横行してる。
以前のエントリーでも触れましたが、たかがニコ動のランキングで、投稿者の人間的価値まで決められる修羅の世界、と化しているのが今の日本の創作界隈の現状です。
■レッドオーシャンで僕がリスペクトする人たちの作品をちょっとだけ紹介しちゃう!
このブログの読者様は、普段こうした創作界隈になじみのない方が多いと思うので、ここで少しだけ彼(彼女)らを紹介したいと思います。
所詮アマチュアでしょ!?と思っている人がいたら、そのクオリティの高さにビックリしてくれるはずです。
まずはこの人。雨月みずきさん。
元々ベーシストで、そのゴリゴリベースが大好きです。とても美しいメロディラインと力強いロックサウンドを作る方。
主に生ボーカルで楽曲を発表しています。いつか一緒にお仕事したい!
★最新作「オーバードーズに沈む夜」★
www.nicozon.net(※ニコ動はアカウントがないと見られないので敢えてこちらのリンクを貼りました)
続いてだよねPさん。
最近は1か月に2~3作品を投稿し続ける超ハイペースなんだけど、どれも高いクオリティを誇る方。
初音ミクなどのボーカロイドを使いこなす、いわゆる王道の"ボカロP"さんです。
★僕のお気に入り曲のひとつ「コネクトドリーム」★
他にもスパイダーっちょさんとか、月灯ゆらさんとか、音羽ねぅさんとか、挙げればキリがない。
皆さんいずれも投稿したら一気に数千再生かかるようなサウンドクリエイターです。
今やプロのアイドルやアーティストでも、CD初動数千枚行くのは至難の業です。
まあ動画サイトの視聴は基本「無料」ですから、有料販売しているこれらCDやダウンロードと比較するのもなんとなく不公平な気がしないでもないですが、それにしたって、こういった方たちが商業の世界に進出したら、まあそこそこの結果は残すんじゃないか、と思われ。
創作界隈というレッドオーシャンでも、安定して活躍している方々なわけです。
さて、そうなってくると、こうした皆さんの「創作意欲」は果たして一体どこから来るのか?気になりますよね。
もちろん、こうした方々だって、本当のところはいろいろと苦労されているだろうし、人知れず苦悩されていることもあるんだと思いますが。
少なくとも「金儲けのため」に創作活動をしているわけではないことだけは間違いないでしょう。
■クリエイターにとってモチベーションの維持に必要なのは"信頼できる相手"の存在
人のことは結局分かりませんから、僭越ながら僕自身のことを書いてみようと思います。
僕も音楽をやりますが、そのスタイルは雨月さんと同じ。人間に歌ってもらって楽曲を完成させるのが主流です。
10回に1回くらいはボーカロイドで完成させますが、これはあくまでレアケース。
よほどのことがない限り「生ボーカル」曲で勝負しています。
そうなってくると、僕の創作活動にとっては、歌を歌ってくれるいわゆる「歌い手」さんが、極めて重要な存在になります。
なんせボカロという機械と違って、相手も生身の人間ですから、そもそも歌える高さ(キー)で曲を作らなきゃいけないし、その人の声質に合ったテイストにしなきゃいけない(まあこれは「卵が先か鶏が先か」という話ではありますが)。
細かい点で言えば、きちんとブレス(息継ぎ)も考えて楽曲を作らなきゃいけない。
そして何より、曲を渡して、練習してもらって、レコーディングして、そんでもってそのボーカル音源が「イマイチだったら何度でもリテイクしてもらわなきゃいけない」。
ありていに言えば「下手クソだったらやり直し」が発生してくるわけです。
そこで重要なのが「歌い手との信頼関係」。
以下はあくまで僕の場合ですが、曲作りの流れを端的にご紹介すると…。
そもそも曲を作る前、僕は歌い手との間で十分話し合います。
どんなテイストの曲にするのか?好みは?テーマは?ジャンルは?キーは?テンポは?どういう感じの音が欲しい?
当然この段階でお互いの意見がぶつかることもあれば、歌い手のほうが「どんな曲でも信頼してお待ちしています」と言ってくれる場合もある。
こっちはロックが作りたいのに歌い手はバラードがいい、なんていう時は、どちらかが譲歩するか(たいていこっちですけど笑)、どうしても意見がまとまらなければ、最悪コラボが流れることもある。
それを乗り越えたうえで、ようやく曲の簡単なサンプルを作って、初めて歌い手に聴いてもらうわけです(ここが僕にとって一番緊張する場面)。
ここで「気に入った!素敵!」と言って貰えれば、本格的に作り込みを始めます。
当然この段階で歌い手が納得しなければ、作り直すことになる。歌いたくもない曲を無理矢理歌ったって、どうせロクな仕上がりになりませんからね。
そしてようやく仮サンプルと呼べるレベルのサウンドが出来上がって、次は作詞(まあこれは「曲先」の場合です。先に詞があって音を付けていくのを「詞先」といいます)。
自分で作詞することもあれば、プロの作詞家が手がけることもある。
しばらく経って歌詞が上がってきたら、今度はボカロで「ボーカルサンプル」を作る。
要は音符通りに歌うんじゃなくて、ちょっとシンコペーションかましたりしたほうがいい時もあるので、一応こっちの責任で「譜割り」を作るわけです。
それでようやく歌い手に「on vocal」版を渡すことができます。
あとはただひたすら歌い手側に練習してもらって、日取りを決めてレコーディングする。
並行してこちらは、さらにサウンドを作りこんだり、アレンジ(編曲)を突き詰めて行ったりする。
歌い手によっては、歌のレッスンをすることもあるし、仮レコーディング音源を早めに送ってもらって「ここはもっと○○な感じに」とかこっちの要望を返したりする。
そうやって何度も何度も遣り取りを繰り返したあと、ようやく本番レコーディングを行い、最終的に「ミックスダウン(あるいはトラックダウンとも)」して楽曲を完成させるわけです。
もちろんこのミックスダウンの段階で、貰ったボーカル音源の出来が悪い、となると、リテイク(録り直し)になります。
最終的なイコライジングやエフェクト、いわゆるMIX作業はこの段階で掛けていきます。
そして仕上げとして整音作業、すなわち「マスタリング」をし、晴れてニコ動に投稿したり、CD化したりする。
商業の場合は、LIVE用のコーラスだけ入ったインスト版、いわゆる「マイナス1音源」を並行して作ることもある。
この間ずっと、作曲家と歌い手は、お互いの信頼関係を高いレベルで維持し続けなければいけないわけです。
お互いが「良いものを作ろう!」という気持ちを共有している場合は、どんなにお互い好き勝手言い合っても、不思議とテンションは高いままです。
むしろどんな困難も乗り越えていける気がする。
でも、ここでどちらか一方が相手の気持ちを裏切ると、途端にこの共同戦線は崩壊を迎えるのです。
■信頼できない相手と一緒に作品なんか作れないよ…歌い手は作曲家の信頼を裏切らないで
僕はどこまで行っても「作曲家」の立場ですから、あくまでもこちらサイドの一方的な意見にはなりますが。
今まで何度も「あ~、ボカロで作ればよかったなぁ」と思ったことがあります。
だってボーカロイドは自分がオペレーションしますから、単純にサウンド作りの延長線上にあります。
どこまでも自分のペースで作業できるし、ボカロは絶対に自分の信頼を裏切らない。
キーは絶対に外さないし、あとは「調声」をどこまでこだわるかの世界。
最後まで自分のペースで楽曲を完成させることができます。
ところが、人間がボーカルを務める場合は、楽曲制作のどこかの段階で、必ず何度か自分の手を離れるわけです。
初めてサンプル音源を聴いてもらう時。
歌詞を付けてボーカルサンプルを渡した時。
歌い手が練習している数日間あるいは数週間の間。
その間は、分かりやすく言うと楽曲制作のボールは歌い手に託されます。
ところが…。
ここで時として「裏切り」とも呼べる行為が起こり得るのです。
具体的には「ノーリアクション」という行為。
サンプル音源を送っても、良いとも悪いとも何の感想も言ってこない。
歌詞付きのボーカルサンプルを送っても、歌詞の内容や歌いやすさ/歌いにくさ、譜割りの良し悪しについてなんの反応もない。
一応サウンドとしては第一段階が完成し、あとは歌い手が練習して楽曲を歌い込み、レコーディングするだけ(作曲家としてはひたすら待つだけ)というステータスになっても、いつまで経っても歌唱サンプルを送ってこないどころか、そもそも歌の練習してるのかすら何の情報も送ってよこさない。
数日間や、まあ一週間やそこらならこちらも黙って待ちます。
でもさすがに、半月、一ヶ月、何の反応もないと、いったいどうなってんだ!? ってなりますよね。
ここで最初の、小さな不信感が生まれるわけです。
お読みいただいた通り、作曲家が歌い手に楽曲を渡すまでには、ものすごい労力が掛かっています。
時には徹夜したり、かなり無理して作業していることもままある。
自分が思い描いたとおりのサウンドが生まれなくて、血反吐を吐く思いで煩悶し続け、作っては消し、何度も何度も作業をやり直している時もあります。
そうやって作り上げてきた作品を、万感の思いを込めて歌い手に託しているわけです。
念のために言っておきますが、こういう事態に陥るケースの場合は、ほぼ例外なく「報酬を貰っていません」。
つまり、100%こちらの善意で、ボランティアで、楽曲制作しているケースに限って、不思議とこういうことが起きる。
なぜなんでしょうかね!?
お金が発生していないと、歌い手は「適当にサボってもいい」と思っちゃうんでしょうか!?
いや、これ本来は逆だよね!?
お金が発生していないからこそ、お互いの誠意がすべて、じゃない?
これ、僕の経験上は、歌い手がプロでもアマでも起こり得ます。
まあアマチュアは仕方がないかもしれませんね。
そういう礼儀というか、自分がどう振る舞うべきか、知らない可能性もある。
そういうときは諦めるしかない。
あらためてキチンと教えて、それでも治らないようなら縁を切ればいい。
★二度目の登場…いっぺん、死んでみる――?「地獄少女」★
でも、いわゆる「プロ」と呼ばれている歌い手(世間的には"アーティスト"とかって呼ばれるんですかね)の中にも、こういうことをやらかす人がいますからね。
そうなると、こちらのモチベーションダダ落ちです。
んで忘れた頃になんかピント外れのリアクションが返ってきたりして…。
正直、ここからまた気持ちを立て直すの、結構大変なんですよね。
まあでも…世の中の歌い手の皆さん、もし自分にも心当たりがあったら、今すぐ作曲家の方に連絡取ってみてください。
「とっても素敵な曲!」って一言反応するだけで、かなり効果はあると思いますよ。
そう、僕にとっての"ニンジン"って、結局作品に対するリアクションなんです。
僕だけじゃないと思います。
すべからく世の中のクリエイターにとって、自分の作品に対する反応っていうのが一番のご馳走なんです。
ましてや、誰よりも早く作品を聴いてもらう立場にある歌い手の反応。これが作品作りの大きな原動力になるんですよね。
■結局のところヤル気のない人とは一緒に高いところからの景色を眺めることなんてできないよね
いつも言っていますが、創作界隈で何かをなそうと思ったら、結局人と同じ程度のことしてたってダメなんです。
人一倍努力して、人一倍苦しんで、そんでもって人一倍その境遇を楽しめなきゃ、高みに昇っていくことはできないんだと思います。
だからいつも言っています。
頑張る人には、僕は最大限の助力を惜しみません。
でも、こちらの善意を無駄遣いするような人とは、僕は絶対組みたくありません。
残念ながら今まで何人か、そういう人に出くわしました。
あ、誤解のないように書いておきますね。
今、僕が組んでいる人たちは最高の人たちだと思っています。
一緒に、高みに昇りたいな~、と本気で思っています。
今日のエントリーは、安易な気持ちで甘ったれた人に近づかれないように、予防線を張ったということにしておいてください笑