れらpです。
いや~今期春アニメ!面白いのが目白押しですねぇ( *´艸`)
とりあえずほぼすべての作品が第1話を放送し終えて、早いのは既に第2話まで来ました。
本来であればここでおススメ作品のレビューをかましたいところではありますが、その前に、日本の音楽産業の基幹団体である「日本レコード協会」というところが、昨年度(2016年度)末までの日本の音楽業界のアニュアルレポートを出しましたので、今回はそのデータについて緊急に考察しておこうと思います。(今回は僕にしてはめっちゃ短い文章ですよ~笑)
★とりあえず抜群に面白くなりそうなのはコレ!今期スタート新作「正解するカド」★
(動画予告編も載せちゃう)
『正解するカド』 予告第1弾 : Concept Trailer
■とある夜、ススキノの片隅で聞いた、とある業界人のボヤキ
先日、札幌のPENNY LANE24という老舗ライブハウスに行ってきました。
アニメ「マクロスF(フロンティア)」のダブルヒロインの一人、シェリル・ノームの歌声役でお馴染みのアーティスト、May'nちゃんのアジアツアー『OVER∞EASY』にご招待いただいたもので。
まあLIVE自体はとにかく最高!!の一言で、生バンドによるガチンコのロックステージに、久々にアドレナリンが脳天を突き抜けました。
後半クライマックスであの名曲「ライオン」(みなさんカラオケで1度くらい歌ったことあるでしょ!?)のイントロが流れてきたときは、本気で失神するかと思った( ゚Д゚)
May'nちゃんのパフォーマンス(歌唱力、LIVEの盛り上げ、トークetc)も申し分なく、女性ソロアーティストであそこまで破壊力のあるLIVEを披露できる人も、国内でそうそういないんじゃないかと改めて感心しました!!
彼女のLIVEはチケットの額面以上の価値が間違いなくある。
やっぱりLIVEって最高ですよねぇ(←後半に向けた意味深な伏線ww)
で、このときMay'nちゃんが所属しているレーベルFlying Dog(←アニソンメジャーレーベルとして有名ですね)の音楽制作部の旧知の方と呑む機会があったので、「最近売れてますか~?」と身も蓋もない質問を直接ぶつけたりしていたわけです。
そうしたら案の定「いや~、正直ダメですねぇ」という返事。
やっぱりCDって今、本当に売れてないらしいです。
さらに「うちの会社が、数年後に生き残ってる保障なんてありませんからね」という衝撃の告白。
その日は黙って僕が飲み代を勘定しておきました(笑)
んで、そんなことがあって数日後に目にしたのが『日本のレコード産業2017』というこの資料。
「なんじゃこりゃあ!!音楽、売れてるやんけ!!!???」
■音楽不況と言われて久しいけれど…V字回復が始まっていた!?
このリポートは、日本レコード協会という業界団体が毎年発行しているもので、協会所属の各レコード会社の一年間の業績をまとめた資料です。
僕のブログでは常々ご紹介していますが、この協会に加盟しているレコード会社のことを俗に「メジャー」と言います。
だから、ここに示されているデータは、まさに日本の音楽業界の動向・浮沈を如実に示しているといってもいいわけです。
そんなリポートの最新版(「2017」とタイトルされていますが、要は2017年3月=2016年度末までのデータをまとめたもの)に、目立たないけれども、非常に大きな変化が記載されていたというお話。
まずはこちらをご覧ください。
【レコード・音楽配信生産量売上高前年比】
一見すると、全体としては前年比を下回り、やはり市場がシュリンクしているように見えます。
巷間言われている「音楽不況」の様相ですね。
唯一規模が拡大しているのは「有料音楽配信」部門です(これについては後述)。
ところが、同じリポートにあるこちらのデータを見てください。
よく「CDが売れない、売れない」と言われてきましたが、表の赤線で囲った部分に注目してください。
CDシングルの「生産量」こそ前年比99%とわずかに縮小していますが、
「売上高」はなんと、前年比103%!
リポートによると「4年ぶりに前年を上回った」ということです。
なんだ、去年CD売れたんじゃん!!
飲み代、割り勘にしとけば良かった(←いや、冗談ですよ笑)
■「サブスクリプション」はやはり救世主だった!?
つづいて、最初の資料で唯一規模が拡大していることが読み取れた「有料音楽配信」部門の実態について確認してみましょう。
この部門は、CDやDVDのように、物理的なパッケージを販売するのではなくて、その名の通り音楽データそのものをネットを介して有料で販売するジャンルのことです。
分かりやすくいえばiTunesみたいなものですね。
これは、有料音楽配信の売上金額の10年間の推移を記したグラフです。
2013年度を底に、昨年度までの3年間連続で、右肩上がりの様相を示しているのがお分かりかと思います。
内訳も細かく記されています。
2007年度から徐々に減少して、2012年度頃にほぼシェアがなくなったのが「Master ringtones」「Ringback tones」というジャンル。
これはいわゆる「着うた」「着メロ」のことですね。
ガラケーの衰退とともにニーズがなくなったというわけです。ここはすんなり理解できますよね。
そして2009年度をピークに徐々に減少しているのが「シングルトラック」あるいは「アルバム」というジャンル。
楽曲の音源データそのものを、1トラックごと、あるいはアルバム単位で販売しているものです。
よく言われる「音楽が売れない」という、右肩下がりの状態はこの部分を指しているわけです。
ところが「サブスクリプション」というジャンルを見てみてください。
これはいわゆる「定額制の音楽配信」という奴で、毎月一定額を支払うことで音楽が聴き放題になる、というストリーミングサービスのことです。
このジャンルがなんと!ここ数年で倍々ゲームで売り上げを伸ばしている!!!
サブスクリプションサービスで有名なのは、「Apple Music」「LINE MUSIC」「Google Play Music」「AWA」あたりですかね。
去年はスウェーデン発の「Spotify(スポティファイ)」なんていうサービスも日本市場に参入してきました。
いずれも月額およそ1,000円で聴き放題です。
れらp的には、世界初(!)アニソン専門プラットフォームとして、つい先月末からサービス開始したばかりの「ANiUTa(アニュータ)」が超注目ですね。
もちろんFlying Dogさんやランティスさんをはじめとして、主なアニソンレーベルはほぼすべて参加している魅力的なプラットフォームです。
月額600円というリーズナブルな料金設定もステキ!
スマホが普及して、公共通信回線の速度が爆発的に早くなったことも背景となって、こうしたストリーミングサービスが定着してきたと言っていいでしょう。
いずれにしても、この分野の堅調な伸びが、音楽業界の売り上げを押し上げていることが読み取れます。
「日本でストリーミングサービスは絶対に成功しない」と仰っていた評論家の皆さんは今頃冷や汗をかいているハズです笑
■アーティストのメジャーデビューも増えたのだ!!
もうひとつ、興味深いデータをご覧ください。
【デビューアーティスト数推移】
これは、過去10年間にメジャーレーベルからデビューしたアーティスト数の推移です。
2016年度は一気にその人数が増えている!!!
厳密にいうと「再デビュー」の人数が倍増している、という現象が全体の数字を底上げしている要素ではあるんですが、それ抜きにしても、2014年度からコンスタントに毎年30人規模でデビュー人数が増えていっている、というのも事実です。
(※この資料では便宜上、複数人のグループも「1人」とカウントしている)
1人の人間をメジャーデビューさせる、というのは、それはそれなりに莫大な経費がかかるわけで。
レコード会社にとっては、これは一般企業でいう「設備投資」みたいなもの。
その投資がここ数年、安定的に増えていっている、ということは、経営もそれなりに安定し始めている、と解釈できるのではないでしょうか。
「再デビュー」が増えてきているのも、数年前の最悪の氷河期を乗り越えて、あらためて売り出し計画を組み始めた、ということなのかもしれません。
▽CDシングルの売り上げが前年比を4年ぶりに上回ったこと。
▽サブスクリプションがここ数年爆発的に倍々ゲームで売り上げを伸ばしていること。
▽メジャーデビューするアーティストがここ数年増加傾向にあること。
これらのデータから導き出されるのはやはり、「音楽業界はV字回復を始めている」という結論です。
■「コンテンツ」から「体験型」へ!音楽の楽しみ方は時代によって変わるのが当たり前!
僕が子供の頃は、レコード屋さんにはSPやLPなどのアナログレコードが並んでいました。
"ジャケ買い"なんていう言葉は、この時代に生まれたと思います。
LPレコードのジャケットは、どれも先鋭的で、時代の最先端を行くデザインだった。今みたいに「試聴」なんてあまり出来ませんでしたから、音楽の中身よりも、このジャケットデザインのカッコよさで購入を決めたりしたものです。
(もっとも、子供だった僕は、お小遣いがなくてそんなイケてる行動はあまり取れませんでしたがね笑)
それがいつのまにか「CD」にとって代わり、レコード屋さんはいつしか「CDショップ」と呼ばれるようになっていました。
今の若者たちにとっては、それがただ単に「ストリーミングサービス」に取って代わった、というか最初からそれが主流だった、というだけの話なのかな~と思います。
「CDが売れなくなった」と言いますが、じゃあ僕らがショップに行ってわざわざ今「カセットカートリッジ」の音源を買うと思いますか?
つまり、音楽コンテンツの記録媒体というのは、時代の移り変わりあるいはイノベーションによって、その都度変わってくる、というだけのことで、「CD」という記録媒体は、だんだんとその歴史的役割を終えつつある、ということなのだと思います。
ただ、アナログレコードにせよ、CDにせよ、あるいは有料での音源ダウンロードにせよ、いずれもそれは「音源」という「コンテンツ」をユーザーの手元に置く(入手する・所有する)という行為です。
でも今はそういった「コンテンツを手元に置く」という行為よりは、「聴きたいときにストリーミングで聴いて、それ以外の時は別に手元になくてもよい」というのが主流になりつつあります。
イノベーションによるコンテンツのダイバーシティ化がそれを可能な時代にした。
だからサブスクリプションが爆発的に普及しているわけです。音楽はもはや「所有するものではない」。
じゃあ今の時代の人は音楽への所有欲が薄れているから、音楽そのものへの欲求や情熱も薄れていっているか?というとそうでもない。
こちらのグラフは「一般社団法人コンサートプロモーターズ協会」というところがまとめた2016年度末までのコンサート・LIVEの動員数の推移です。
【2016コンサート動員数】
基礎調査推移表 会場規模別動員数/一般社団法人コンサートプロモーターズ協会:ACPC
ご覧の通りここ数年、爆発的にコンサートやLIVEの集客動員数が増えているのがお分かりかと思います。
偶然の一致でしょうか?なんと、サブスクリプションが顕著に増加し始めた時期と、LIVE動員数が急拡大した時期が同じなんです。
もちろん、相互の関連性などは正確には分かりませんが、同じ「音楽」というジャンルについての動向ですから、対象となる人々も相当程度重なっているとみていいでしょう。
つまり、この数年間の音楽好きの人々の動向としては、
▽日常的にはサブスクリプションで好きな時に音楽を楽しみながら
▽自分のお気に入りのアーティストのライブがある時には会場に直接足を運んで音楽への情熱や欲求を消化している
のではないかなと、思うわけです。
すなわち、音楽は「所有するのではなく」、
「体験すること」がゴール。
そして、体験の結果、どうしようもなく気に入っていわゆる「ハマった」音楽についてのみ、コレクターとしての「所有」に走る。
そしてようやく冒頭の伏線の回収です笑
あらためて言いますが、May'nちゃんのLIVE、メッチャ凄かった。
CDでヘッドホンで聴いていた曲も良かったですが、やっぱり「ホンモノを目の前にしてその場でパフォーマンスする」迫力の方が何倍も凄いわけです。
まさに酔いしれましたね!
(※この写真はMay'nちゃんのLIVEではありませんのであしからず笑)
んで帰り道、あらためてiPodに入ったMay'nちゃんの曲を聴き直しながらさっきまでの余韻に浸りまくるわけです。
いま、僕のデスク周りにはMay'nちゃんのアルバムCDがちゃんと置いてありますよ笑
今や音楽は「体験するもの」。その体験の記憶を定着させるためにこそ、CDという物理媒体がコレクション的に購入されていく。
であればこそ、やはり"音楽の素晴らしさを実感するための入口"であるところの「体験装置としてのLIVE」の重要性、というのが今の時代ますます比重を高めていくと思うわけです。
皆さん、ぜひLIVEに行って、生の音楽の迫力、存分に味わってくださいね!!
(お?珍しくLIVE演出家っぽいまとめになったかも!??)