『昨日より今日はもっと×2!素敵』 BLOG(イケてる大人計画)

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【アニオタはかくしてLIVE演出家になった】14小節目♪「見せたいものを見せるか?見たいものを見せるか?ICT時代のタレントマーケティング【前編】」

れらpです。
最近はLIVE演出家っぽいエントリーがすっかり鳴りを潜め、ドルオタ丸出し記事ばかり書いている自覚症状アリです。

なんでこんなことになっているのか、今回のエントリーでその種明かしをしてみましょう。
例によって長文になってしまったので、前後編2回に分けてお送りします。

今日は前編。まずはこの言葉からです。


■「マーケティング」って何?言葉の意味を定義してみる

昨今、ビジネスパーソンにとってマーケティングという言葉は大変馴染み深いワードです。
でもこの言葉、知っているようで案外ちゃんと説明できない!?ですよね。

ちょっと言葉の意味を調べてみました。

多くのマスメディアで注目を集めるトップマーケターであり、日本MBA協会代表理事を務める安部哲也氏によると、マーケティングとは「儲け続ける仕組みを作ること」と定義されるそうです。

つまり、企業やお店が維持発展できるだけの儲けをコンスタントに出し続ける、ということですね。
そのためには、当然顧客が満足して何度もリピートし、かつその評判を聞きつけて新たな顧客が持続的に増えていかなきゃいけない。
お店も十分な利益を出し、顧客も十分満足する。つまりWin-Win」の関係になって初めてその事業は発展していく(儲け続ける)。

 

★いろんな商売人が出てきます!みんな誰かを愛してる「たまこまーけっと」★

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そのために、企業として「どういう戦略を持ち」「どういう手段を用いて」「競争相手に一歩先んじていくか」ということをあれこれ考えたり、実際に試してみること全般、というのがマーケティング」という言葉の意味、だと解釈してよさそうです。

 


■"勘"と"経験"に基づいて商売をやる時代はとっくに終わっている

"事業で成功する"つまり「儲ける」ためには、今やこの「マーケティング」が欠かせません。

昔は経営者の"勘"に頼っていた時代もあったと思います。
そういう人は「商売の才覚がある」と言われ、"カリスマ経営者"と呼ばれることもあったでしょう。
でも、よく聞きませんか?
初代の築いた富と名声を、二代目が擦り減らし、三代目が食い潰す。

カリスマ創業者がいなくなったら、勘や博打だけで商売がいつまでも上手くいくわけないのです。
当たり前ですが、時代が変われば市場のニーズも変わるし、人々の好みも変化していく。
さらに、先代がやっていたことが、必ずしも今の時代に合うとは限らない。

 

★単なる語呂合わせ紹介ですぅ「げんしけん二代目」★


げんしけん二代目 PV

 

今は時間の流れが昔よりもはるかに早く進む時代。
十年一昔、どころか一年前に正解だったものがすぐに陳腐化するのが当たり前の時代になってしまいました。

 

そんなご時世に乗り遅れないように、かつ儲けていくために、商売にとっては今や「マーケティング」は必須の要素だ。
世の中の、いま時流に乗っている商売というのは、ほぼ例外なくこのマーケティング戦略に基づいて行われている。

 


■タレントセールスにマーケティングがあまり用いられていないという旧態依然とした現実

さて、話を芸能(あるいはクリエイティブ)の世界に向けてみましょう。
アイドルに限らず、タレント活動というのは人気商売ですから、当然マーケット(つまり、世間一般ということですね)の傾向分析を緻密に行って、そこに自分を適合させ、自分という商品(タレント)が世間に受け入れられるようにしていかなければならない。
人気商売というのは、世間の支持があって初めて成立するものですから、これは至極当たり前の発想です。

ところが、誰よりもこの「マーケティング」を重視しなければならないはずのタレント業、よく見まわしてみると、キチンとマーケティングされているケースは逆に少ない、という現実に気付くことがよくあります。

 

それこそ、ほとんどのケースで前時代的な"経営者(プロデューサー)の勘"とか"偶然"に頼っている、というのが今の日本のタレントプロデュースの実態です。
一人のタレントを売り出すのに、社長と本人が話し合うだけで「よし、君はコレで行こう~!」てな感じです。

 

余談ですが、本ブログの主宰者・エムPさんはその点凄いタレントマーケティングやってますねぇ。
あんまり話すと手の内を明かすことになるので控えますが、数年先を見据えた仕掛けにはいつも驚かされます。

 


■エンタメの本場アメリカでは一般的なタレントマーケティング

さてさて、いっぽうエンターテインメントの本場、アメリカでは、とっくにこのタレントマーケティングが一般化しています。

分かりやすい例を挙げてみましょう。例えば「映画」。
ハリウッドで制作される作品は、一説によると年間600~700本といわれています。売上高は年間1兆円以上。
日本の映画産業に比べると桁違いの産業群です。
そんなハリウッドで制作される作品のほとんどには、さまざまなマーケティング手法が駆使されています。

 

その手法のひとつ「グループミーティング方式」と呼ばれるものをご紹介します。

これは、さまざまな属性(性別・年齢層・人種・社会的集団)を持った人々を制作途中で集め、作品のパイロット版を視聴させ、その反応を見る手法です。
視聴した人は思い思いに自分の印象(感想)を話し、もっと見たかったシーン、あるいはつまらなかったシーン、結末も、こうなってほしかった、主役の人格はこういうほうが好き、とかいろいろ感想を出し合います。

そして、制作側はそれに基づいてストーリーを改変したり、キャラの衣装や振る舞いを変更したりします。
場合によっては、(それがモンスター系映画の場合)モンスターの造形すら変えていきます。

必要に応じて、何度でもこれを繰り返します。

そうやって"世間の最大公約数"が、ちゃんと納得出来たり、感情移入できるように手直ししてから、映画が完成するのです。

もちろん子供向け映画であれば、グループミーティングに呼ばれるのは、視聴ターゲットとなる子供たち。
そこで出た子供の感想は、大人のプロデューサーの意見より優先されます。


これは「大成功はしないかもしれないけど大失敗もしないやり方」。
だから、結果としていわゆる「大爆死」が少ない。
巨大なマネーが動く作品であればあるほど、こうしたマーケティングは重視される傾向にあります。


実はこの手法、僕も経験したことがあります。
ある情報番組のリニューアルにあたり、このグループミーティングを取り入れてみました。
呼んだのは、その番組の主たるターゲットとしている主婦層。
ある部屋で行われるミーティングを、別室でモニターするわけです。
(当然、後日コンサル会社から詳細な分析結果が送られてきますが、「生の声」というか、番組に対する批評の雰囲気はやはり直接聞いてみるのが一番です。我々が別室にいる理由は、関係者がその場にいるとどうしても議論に遠慮が出てしまうからです)

 

結果は…。もう散々でした。
「スタジオセットの色が気にくわない」「司会者が生理的に無理」「なんでこの情報が〇番目なのか」「会話がぎこちない」…。
同席してモニター越しに議論の様子を見ていた番組プロデューサーは、顔色が赤くなったり青くなったり、信号機みたいになりましたよ(笑)。

これを、複数のグループで何度も繰り返すのです。
そして、どのグループにも共通する評価点と批判点を整理し、続けるべき部分と改善すべき部分を洗い出す。

もちろん、リニューアルはこれらの意見を可能な限り取り入れ、改善を図りました(司会者も交替しました)。
結果、視聴率が平均して3%も上がりました。
(この「3%」というのがいかに凄い数字なのかは、テレビ関係者ならよくお分かりかと思います)

 

グループミーティング、恐るべし。

 


■最近のヒット作には、マーケティングの形跡がキチンと見て取れる

いっぽうで日本のエンタメ界。
ハリウッドのように、視聴者の意見を取り入れて作品の改善を図ったうえでリリースするというケースはあまりないようです。
最優先されるのは「作家性」であり「タレント性」。

この傾向は、製作者(監督、演出家、俳優など)が大物であればあるほど顕著なようです。

言葉を変えれば「この人が作った作品なんだ、文句あるか!?」っていうことです。

これは、ハリウッドの制作手法とは真逆ですね。
「顧客が見たいもの」を作るんじゃなくて「製作者が見せたいもの」を作っている。
僕たちは、そんなものを観たい気分じゃないのに、この人は偉いんですよ~さあみんな観なさい~っていう押しつけ感にいつもウンザリしてる。

こんな風潮で、ホントに面白い作品が生まれるわけありません。

もちろん、いろんな歯車がビターっと噛み合ったら大ヒットです。
あるいは"職人の勘"で、結果的に見事に時代を捉えられたら大ヒットです。
あるいは"偶然"なら…。

 

ただ、去年ヒットした主な作品は明らかにマーケティングを緻密に行った形跡がありました。
シン・ゴジラしかり君の名は。しかり。
どちらも、「世間の最大公約数」が観たい作品だった。

 

前者は、東日本大震災後に作られた作品ならではのグリップポイント(ディザスターシーンしかり、自衛隊の活躍シーンしかり)を随所に用意していた。
そして、「ゴジラが見たい」僕らの思いを酌んで、本来なら主役を張れるような俳優を数カットだけで使い捨てにし、「個」を徹底的に排除して物語の面白さだけでグイグイ迫ってきてくれた。
エヴァ」ファンの期待にも応え、髄所にエヴァへのオマージュも散りばめた。

 

後者も、某映画監督は「過去のヒット作の要素をつなぎ合わせただけ」と毒を吐きましたが、そんなことだけであれだけの大ヒットが生まれるわけないでしょう。

事実、新海誠監督は、この作品を作る前に通信教育・Z会のCMを制作していたそうですが、そこで描いたモチーフに手応えを感じたことが制作のきっかけになったと語っています。
このテイストの作品が今、世の中に受け入れられるかどうか、キッチリと事前検証している。

kai-you.net

そうやって観客が見たいシーン、見たい展開を徹底的に研究し、時にはプロデューサーが監督のセンスを「気持ち悪い」と切って捨てたシーンを作り直し、第一級のエンターテインメントに仕上げたそうです。
新海監督といえばデビュー作「ほしのこえ」以来、国内外で数々の賞を受賞するなど、実績十分な方なんですが、それでもこうやってマーケティングに余念がない。

 

★新海ワールドの傑作「秒速5センチメートル」★

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秒速5センチメートル

 

おっと、長くなるので今回はこの辺で。
最近の僕が「なぜドルオタ丸出し記事ばかり書いているのか!?」の種明かしは次回に持ち越しです(笑)

それでは続きをお楽しみに!