最近のテレビドラマは、撮影時の映像の「フォーマット」がいろいろあります。
テレビが、「映像表現」のトップを走ってきた時代が終わりを告げて久しいわけなんですが。
その「映像表現」の中には、相当「専門技術的なこと」がございまして、とはいえ、「専門的な」ことが、「映像の雰囲気作り」に相当影響もしているわけで。
テレビドラマの中で、最近にしては少し珍しい、映像上の「異和感」を感じました。なぜ、こんなことが起きたのかなー、っていう。
それは…
2/12放送「a Life〜愛しき人〜」第5回の、武田鉄矢さん出演の桜塚総合病院のシーン、同番組の、2/19放送 第6回の、幾つかのシーン、特にこの回のラストシーン「木村さんと竹内さんが、木村さんの部屋で病状と余命について話すシーン」の「画質」が、そこまでのそれ以外のシーンと「異なる」問題、
です。
映像の「フォーマット」には、様々な形式があるのです。
画像に、jpg、png、とかのフォーマットがあるように。
で、その「映像のフォーマット」にも、いろんな「内容」がございまして。
見え方において、一番目立つのが、「コマ数」。
1秒間に何コマ(何フレーム)あるのか、ということなんですが。
通常のテレビ放送は、ものすごく簡単に言うと、
1秒間に30コマ、すなわち、1秒間に30枚の画像」が、ばーっと動いて、「動画」になっています。
で、実際は、
その30コマの1コマを、さらに、1コマ目の前半コマと後半コマの「2コマ」に分けています。
その「前半コマ」…ここで、その前半コマの1コマは「1080本の横線」が積み上がって、映像ができていますが、その1080本を「1本おきに取り出して」…
これはどういうことかというと、
1本目の横線、の、次の2本目の横線は「ただの黒い横線」、3本目は「映像の横線」、4本目は再び「ただの黒い横線」…というふうにして、540本の映像の横線と、540本の黒い横線が交互に積み上がったもの…というふうに、1枚のコマを作っており、
そして、
後半コマは、前半コマの逆で、1本目の横線が黒、2本目の横線が映像…、というふうに積み上がって、映像を形成、
その結果、
前半コマと、後半コマが、連続して、1080本の横線が積み上がった映像に見えるようにしている
のです。
これが、通常のテレビ放送の「フォーマット」でして。
元の「30コマ」が、「倍の」コマ数の60枚になるので、60、
そこに、さらにフォーマットの記号の一種である「i(アイ)」をつけて、
60i(ろくじゅうあい)、と呼ぶものが、実際のテレビ放送の「フォーマット」になります。
この60iの形式は、特徴としては、
「生っぽい、ビデオっぽい」
「昔のホームビデオで撮ったみたいな、いわゆるテレビの絵」
ということになります。
なお、これは、
「放送」時のフォーマットでして、
「撮影」するときに、この60iで撮影するか、
または別のフォーマット、
★30p(さんじゅうぴー)
★24p(にじゅうよんぴー)
で撮ることで、上記の60位の特徴でもある、
「生っぽい、ビデオっぽい」
「昔のホームビデオで撮ったみたいな、いわゆるテレビの絵」
を避けることができます。
(今は、ホームビデオや、iPhoneや、デジタルスチルカメラでも、動画のフォーマットということで、これらの30pやら24pやら、60iやら、60pやらを選べるはずです)
音楽ビデオ/MV/ミュージック・ビデオ、では、
★30p(さんじゅうぴー)
★24p(にじゅうよんぴー)
で、99パーセント、撮影しています。
(映画が1秒24コマでして、それが由来で24pというフォーマットがあったりしていますので、映画風な画質は、24pが一番「フィルム」らしいですが)
いまも、テレビドラマは、60iと24pが50:50くらいの割合です
(正確にはわかりませんけど…)。
で、本題。
今回のブログの冒頭で書いたことは、ここまで書いた用語を使って言えば…
2/12放送「a Life〜愛しき人〜」以降、それまで全てが「60i」撮影だったものが(もしかしたら30pかもしれませんが)、時折「24p」撮影の映像が混じってきた…
ということでして、これがなぜかなーと、とても不思議に思ったのでした。
普通、これら「60iやら24pやら」が、一つの作品の中で「混じる」ことは、ほとんど有り得ないのです。
(回想シーンが、24p風になる、ということは、むかしむかしからありましたが)
撮影スタッフが、「設定まちがったー!」っていうことは、ほぼほぼ考え難いので、それ以外の要因で起きていることなはずなんですが…。
音楽ビデオ屋さんとしては、画質へのこだわりが半端ないので、どうしても、この手の異和感が気になって仕方ない。
誰か教えてー(笑)。
なお、パソコンの画面では、上記の、60i、30p、24p、の差は、全く出ません。悪しからず。
唯一その違いを感じる方法としては、
VLC Media Player というフリーのアプリを使って、そこに動画を読み込み、再生の設定で「インターレス」というのを選んで見て、同じ動画を「プログレッシブ」の設定で見て、比べることで、「あ、こういうことか!」と、わかるかもしれません。
あ、専門的すぎた。
ま、専門家なんで、たまにはこんなブログがあってもいいかなと。
お好きな人は、お考えください!
音楽ビデオ(特に日本)の映像の見え方の歴史、にも、深く関わることなのです。
だからこそ、
合言葉は、See Your Music!
では、またお会いしましょ。さよなら、さよなら、さよなら…!
ついでに、川村ケンスケの「黒・音楽ビデオ/映像論」を読みたい方は…
(といっても、「黒」ばっかりではないですが…)
こちらも!
ぜひお読みください!