CINRA.NETという、いわばカルチャー系のニュースサイトがあるのですが、そこでインタビューを受けました。
フィッシュマンズというバンドがありました(今現在、ライブをやっているフィッシュマンズは、ここで取り上げられているフィッシュマンズとは、厳密な意味でいうと、ちょっと違う…もちろん、同じバンドなんですが…換骨奪胎的な感じになっているので…)。1990年代後半は、そのバンドの映像を作ることが、僕の映像作りの一番大事なところをおそらく占めていたのですが、そのあたりのことを中心に語ったりしています。
90年代は、僕が音楽ビデオ/MV/ミュージック・ビデオ(そのころは、プロモーション・ビデオ=PV と、呼ばれていましたが)を始めたころ。
その仕事の前にも、映像の仕事をしていたのですが。
そんな類のこと、インタビューで、語りきれてないこと、聞かれてないこと、とかを、いまだ聞かれてもないけれど(笑)、ちょっとだけ書いてみようかと。
まずは、テーマ通り「フィッシュマンズ」の音楽ビデオ/MV/ミュージック・ビデオについて、から始めましょう。
あまり、見出しもつけず、ざーっと密に書いていこうかなと。
フィッシュマンズとの出会いは、このビデオを作ることからでした。
これは、リメイク・バージョンでして、一番初めに作ったバージョンから、数年後にDVDでクリップ集を出すときに、全部やり直したもの。
ファースト・バージョンは、無線で話しているようなイメージシーンとか、無重力空間でペンを掴もうとしているような「特撮」(!)シーンとか、余計な(笑)シーンが満載!
そもそも、そのファースト・バージョンでも、メンバーから「トランポリンのシーンだけで良くね?」みたいな(そんな言い方は当時はなかったので、そういうふうには言ってないですが)意見があり、その時点で一度やり直してます。
でも、これはインタビューで答えている通りですが、その「トランポリンだけでいい」という感覚、ちょっとだけ思っていたことだったのでした。
PV、音楽ビデオ/MV/ミュージック・ビデオ、は、「展開」「構成」がきちんとなければいけない!そういうふうに「信じこまされていた」我々は、ミュージシャンが音楽をどう捉えているか、特にフィッシュマンズは「定型的な音楽の捉え方をしていない」ようで、その「彼らの感覚」に、衝撃を受けたのは事実でした!
ダンスのビデオとかは、ダンスそのものに、「音楽の時間軸」と「小節」みたいな「ものさし」があるので、そこから離れることができない、だからこそ、ダンス系のビデオは、映像上も「構成…英語でいうとcompositionですが…を持っていないといけない」わけです。
しかし、フィッシュマンズの音楽には、その「構成」から「逃亡しよう」というムードがぷんぷんしていました。彼らのライブは、初期のいわゆる「ポップスのライブのありかた」から、のちに、自分たちの楽曲を「解体」して「ちがうものにしてしまおう」という試みの連続に変化して行きました。いわば、ライブでのリミックス、デコンストラクション、を行なっていったのでした。
その影響を、僕ももろに受けていったのです…。
その結果、
フィッシュマンズと最後に作ったPV、音楽ビデオ/MV/ミュージック・ビデオは、これです。
これは、実際は10分以上ある曲で、まともにぶつかったら、10分の長さの音楽ビデオ/MV/ミュージック・ビデオ、って、作れないっすよー!ってことで、僕が取った作戦は…
★編集をするときに「音楽を聞かない」
★素材をゲットする「撮影」を、半分以上、信頼できるカメラマンやディレクターに「丸投げ」する
ということでした。
★編集をするときに「音楽を聞かない」…というのは、
音楽を聞いていると、どうしても絵を切り替えるタイミングを「音にあわせたくなる」もしくは、「このカット、長さが長すぎるかなー」とかいう気持ちがメラメラと湧き上がってくるので、その「音楽の持つ強さ」から、逃れよう!というプランに基づいて、でした。
全編、編集し終わってから、初めて「音楽」を当ててみる!と。
そしたら、なんと!
音楽との「マッチング」が、いちいち「新鮮」に展開してくれて、ものすごく感動!
「意味のない(笑)映像の羅列」が、「音楽によって、意味を持たされていく」という、その瞬間の連続を、体験!
★素材をゲットする「撮影」を、半分以上、信頼できるカメラマンやディレクターに「丸投げ」する…というのは、
のちのフィッシュマンズの映画「THE LONG SEASON REVUE」でもそれに類する手法を使ったのですが、
「映像を編集するときに、自分の意思が反映していないものを見て、解釈しながら繋ぎたい!」
という思い、と、コンセプト、によるのです!
その信頼できるカメラマンやディレクターが持つ、曲への思いを、感じたり無視したりしながら、そして、それらの映像を「楽しみながら」、繋いでいく。
10分以上の音楽ビデオ/MV/ミュージック・ビデオが、とてもクリエイティブに、妄想しつつ、編集されていったのでした。
しかも、これが、あっという間に編集できた!っていうことで、
このやり方が、とてもよかったことが、僕的には証明されたのでした。
もちろん、最後に音を当てた後、調整や修正はしてますが、ほぼ、「音を聞かないで繋いだまま」です。
そんなふうに見えないでしょ?
僕が、音楽ビデオ/MV/ミュージック・ビデオを作り始めて、3年から5年の間に起きたことです。
次回は、まだ紹介できなかった「秘策」を書こうかと!
楽しみな人は、楽しみにしてください!
これも、読んでね!(しつこいか)
www.cinra.net
では、合言葉は、See Your Music!
では、またお会いしましょ。さよなら、さよなら、さよなら…!
ついでに、川村ケンスケの「黒・音楽ビデオ/映像論」を読みたい方は…
(といっても、「黒」ばっかりではないですが…)
こちらも!
ぜひお読みください!