この春夏のシャネルのオート・クチュールのショー映像に出会いました。これが、やはり、凡百の音楽ビデオを軽く超える良さ!
衣装のクリエイティビティパワーって、すごいですね!
空間のコンセプトもいいのですが、やはり衣装そのものの素晴らしさ!
人間がそのまま「プレゼンテーション」しているパワーもありますね。
…で、
僕が、そんな数々のファッションショーの映像を見て、で、いつもいつも注目していたのが、アレクサンダー・マックイーンのショーです!
彼はすでに亡き人ですが、本人存命の頃は、より「クリエイティブで面白かった」気がしています。
さて、年代バラバラですが、いくつか、いいなあと思ったもの、取り上げようかな、と。
まずは…
…これ、「ゆか」の質感がすばらしい。こういう「ゆか」を音楽ビデオでも設定したいけれど、これはコストかかるよー!
時折見える、天井部分がかなりざっくりした質感の、「映像の照明でつかうような布」をそのまま見せている、のかな…?、それが高級に見えるという、一番憧れる設定である!
天井は「すごく高い!」か、「すごく低いか!」、どちらかに振り切れると「かっこよく見える」傾向があると思います。
そういえば
かつて、舞台作品(とあるロックバンドの演劇調のステージ)のデザインをやったとき、この考えを提出して、コテンパンにやられた記憶あり(涙)。
そのときは、舞台の「左」と「右」を完全に黒と白で分けて、演出で使う、みたいなことも言ったけど、これも完全否定されました(再涙)。
それはさておき。
次が…
…これは、美術館のような、ショーウインドーのような。クールとはこのこと!ですよね。観客の位置や捉え方が、独特なんでしょうね。そこらあたりがシャネルとかと違うところなのかもしれませんし、パンキッシュに見えるところなのかもしれません。
いわば、ダミアン・ハーストの作品のような「クリニカルな」ムード。
ひんやりしてるー!
そして…
これも、やはり、観客とショーを隔てる素材が置かれています。こうすることで、観客は「観察」というモードに「向かわされる」ように思えますし、中身が冬の風景でも、やはり「クリニカル」に思えるのは、ビニールの素材感のせいでしょうか?
で、
レディー・ガガは、彼女の「Bad Romance」の音楽ビデオで、アレクサンダー・マックイーンの衣装を着ているそうです。
衣装で、見せられてしまう音楽ビデオですよね!
さて、
こういうランウエイのコンセプトの音楽ビデオって数あれど…。
探してみたら(というか、思い出すしかないのですが、もう思い出すという行為が全くできず…涙)
まずは、
「KISS KISS BANG BANG」…!
たしかにこういうスタイリングやヘアメイクで、7変化でやってました…が、
あ!
これ、YouTubeになかった…相当気に入ってないんだね、本人たちがきっと(要確認)。
そして、拙作。
上木彩矢「The Light」…
後半が、ランウエイモチーフ。観客が入れられないときは、そのかわりにカメラを置いて、雰囲気を作ります(これ、定番の手法)。
または、こんな拙作。
一応、ランウエイモチーフ(笑)。これもカメラ使用中!(笑)
観客を入れると、生々しくなってかっこ悪い!と、思ってたんでしょうね(他人事)。
…と、
この「友情〜」の音楽ビデオを見返してみて、完全な自己反省!させてください!
お願いします!
音楽ビデオを作るときは、スタジオの狭い広いに、気をつけろ!
それは…
「あ!撮れている『空間』が狭い!」と、思ったこと。
(当時、よく使っていた世田谷の撮影スタジオが、この広さだったのです…懐かしい!…今はもうなくて、マンション担ってますが…そこでは、「キャシャーン」なんかも撮ってましたので、そこそこちゃんとしたスタジオだったのですが、いかんせん、狭い!)
狭く見える要素って、空間の広さももちろんですが、撮影の方法論にも要因があって。
で、
最近、こういう「狭さ」を感じるビデオを見た記憶があって、なんでわざわざ「狭く」感じるビデオを撮るのかなー、と思っていたことを覚えていて、
で、いろいろ思い出してみたら、これでした…
JUJU「believe believe feat. 明辺悠五」
かなり、手がかかった(リリースによれば、時間もかかった、と…)音楽ビデオらしいのですが、
致命的だったのは、上述の「せまさ」。
カメラがクレーンで、ワイドレンズで動くことで、「余計に狭い」ことを強調する仕上がりに…残念。
移動撮影は、距離や広さを強調してしまいます。人間は、経験上、自分が動いても遠い物は動かない、と思う生き物ですから。
カメラが動くと、背景も動く感じに見える、と、あ、これは空間が狭いな、と、理解できてしまいます。
したがって、ワイドレンズだと、かえって空間って狭く見えるんだよね、こういう距離感の場合。
この音楽ビデオは、テーマが「スチームパンク」らしい(と、いろんなメデイアで書かれていた)が、その面白さもゼロだし。スチーム・パンクのなんたるかがなにも出てないし…なんか、ただ古臭いビデオ。
アーティストとコンセプトが「チグハグ」なんですね、「ビリビリ」ではなくて(涙)。
そういう意味では、アレクサンダー・マックイーンなムード/トーンを狙うくらいのほうがいいと思うんだけどなー。
最近で最も残念な音楽ビデオの一本、でした。
どうしても、See Your Music!だと、こう思うこともあるわけです。すんません。
そんなわけで、みなさんも、アレクサンダー・マックイーン、あらためて見返してみましょう!
では、またお会いしましょ。さよなら、さよなら、さよなら…!
ついでに、川村ケンスケの「黒・音楽ビデオ/映像論」を読みたい方は…
(今回は、このブログのほうが「黒かった」ですが…)
こちらも!
ぜひお読みください!