『昨日より今日はもっと×2!素敵』 BLOG(イケてる大人計画)

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【アニオタはかくしてLIVE演出家になった】 4小節目♪「新規参入アイドル必読その1!自分たちが食っていくために必要なファンの数とは!?」

れらpです。
LIVE演出家の皮をかぶったアニオタ(兼ドルオタ)です。

幼女戦記→幼女の皮をかぶった"化物"の物語


TVアニメ『幼女戦記』PV第2弾(化物ver.)

アーティストやアイドルは、自分のLIVEで"感動体験"を提供しなければならない。
それが自分たちの「楽曲に付加価値を付ける」ということである、
付加価値が付けば「新規ファンを開拓」することができ、
ひいては自分たちの活動をマネタイズしてビジネスとして成立させることができる。

という話を、以前のエントリーで説明しました。

www.waja-next.com

今回から、いよいよ具体的な話をしていきたいと思います。
まずは「アイドルとして自分たちが食っていくために必要なファンの数」について考察します。

f:id:rerarera_p:20170121101634p:plain

▲こんなイラストも描いてます(*´Д`)


■誰でも名乗れる時代~ハイパーインフレ化した「アイドル」という呼称

いやはや。
アイドルの質、落ちましたね~。
(いきなり煽っていくスタイルww)

「アイドル」って、日本語に訳すとどういう意味か皆さんご存知ですよね。

ぐう-ぞう〔-ザウ〕【偶像】
1.木・石・土・金属などで作った像。
2.神仏をかたどった、信仰の対象となる像。
3.あこがれや崇拝の対象となるもの。「若者の偶像」
デジタル大辞泉より)

アイドルが本当にアイドルらしかった時代、といえば80年代でしょうか。
松田聖子中森明菜小泉今日子菊池桃子…。

人気も凄かったですし、その名の通り崇拝の対象、でもあった。

本当に夢にまで出てきて、でも絶対に住む世界が違うって誰もが分かっていた。
アイドルは決してウ○コしない、と信じられてましたしww

本人たちも、自分はアイドルだって、ものすごいプロ意識をもっていて、
その立ち居振る舞い、オーラは半端なかった。

★僕が人生ではじめて自分で買ったレコード★
松田聖子青い珊瑚礁」/アルバム『SQUALL』)


松田聖子 青い珊瑚礁

でも今や…。
「私、アイドルなんです」って自称してしまえば誰でもアイドルになれちゃう時代…。

この場合の「アイドル」とは、
メジャーデビューしてCDも全国流通し、ツアーをやったり、テレビや雑誌などのメディアにも頻繁に登場する、
いわゆるロールモデルとしてのアイドルのことではありません。

ちょっとカワイイ(かもしれない)子たちが集まって、
お揃いのTシャツにパニエを着て、
その辺でライブやって、
ブログやツイッターでなにげない日常を呟く。

もうこれだけで「アイドル」の出来上がりです。

飲食店なんかに在籍して、普段は街頭でお店のチラシを配りながら、ある時間だけはお店の中の一画で歌ったり踊ったりする人たちもアイドル。

ある商品や特定の何かを紹介するために結成されたグループもアイドル。

一部の地域のみで限定的に活動する子たちもアイドル。
(「ご当地アイドル」:この子たちはそのうち化ける可能性もある)

★ご当地アイドルから初のメジャー進出を果たした「Negicco」★


Negicco「愛、かましたいの」MV 作詞・作曲 堂島孝平 編曲 石崎光(cafelon) (2016/12/20 release)

活動の場がリアルじゃなくたって、ネット配信だけで活動している、いわゆるネットアイドルという方々も無数に存在します。

いまや「アイドルのハイパーインフレ「バナナの叩き売り」状態ですね。
「アイドル」という名称・肩書には、もはや特別な価値は何もありません。

もちろん星の数ほどいるこういった"アイドル"さんたちの中には、本当に魅力的な子たちもいるし、将来的にちゃんとした(本来の意味での)アイドルになろうと血のにじむ思いをして、今この瞬間にも必死で努力している方たちもいる。

でも、ほとんどの自称アイドルたちは、
ほんの数年「アイドル」として活動したあとは、
やがて普通の生活に戻っていく。
決して「アイドルという職業」で飯を食っていけるわけではないから…。

でも別にいいんです。
「アイドル」をやりたい子たちがいて、
その「アイドル」を応援したい人たちがいて、
需要と供給がマッチングしている場合は。
そこに何も口を差し挟むつもりはないし、当事者たちにとっては、それこそ余計なお世話だ。

たとえ「無給」でも、自分がアイドルと呼ばれることにこそ価値を見出している女の子と、自分がお金を払うことで、可愛い女の子と握手が出来て、ほんの数分お話ができたり名前を覚えてもらえることに価値を見出しているファンたち。

今から僕が書く内容は、そういった需給バランスが取れていて、別にそれでお金を稼げているわけではないけど今のままで十分だ、という方には関係ないお話です。

(該当する方はここでブラウザの「戻る」ボタンを押してくださいww)


■3人組のアイドルが食っていくには1枚2,000円のチケットを年間6,000枚売らなければならない

まがりなりにも「アイドル」として一定程度の報酬を受け取り、自分や所属事務所の生活やビジネスを成立させたいと考えている方々。

損益分岐点をどのあたりに設定されていますか?

ちなみに首都圏の「事務系アシスタント職」(ありていにいえばOLさんですね)の平均年収は293万円だそうです(転職サービスDODA調べ)。

アイドル活動をやっている女の子たちが、自立して生活できる最低限のラインがこの程度だと想定した場合、単純に12で割ると、月収としては25万円弱。

もしこの報酬をライブ活動だけで賄おうとすると、月に2回ライブしたとして、1回のライブで12.5万円を、自分の報酬として受け取れるようにしなければいけません。

ライブハウスを1回借り上げると、どんなに安いところでも会場使用料として最低10万円前後はかかるでしょうから、この支払いも含めると

22.5万円程度はライブで売り上げる必要

があります。

仮に客単価(チケット代)が2,000円だとすると、1回あたり113人、有料入場者として来てもらわなければいけません。

これをコンスタントに1年間24回ライブし続けます。すなわち

有料来場者延べ人数2,712人

にしてようやく最低限度の生活が賄えるわけです。

もちろんこれ、アイドル「1人」が生活していくための数字

です。
さらにいうと、ここには「初期投資」(=衣装代、楽曲制作費など)や「ランニングコスト」(=交通費、レッスンスタジオ借用料など)が一切入っていません。
(※ここでは計算がめんどくさいのでこれらの必要経費は割愛します)

★お金の意味について考えさせられる異色のアニメ「C」★


テレビアニメ「C」作品紹介PV


メンバーが2人以上になると、報酬支払いも×になります。
オーソドックスな3人グループのアイドルだとしたら、
ライブ1回あたりの売り上げには約50万円
必要。

有料来場者は1回あたり250人。
しかしそれだけのキャパのライブハウスともなると使用料が跳ね上がり、最低でも30万円くらいから。
つまり、ライブ1回につき約70万~80万円の売り上げがないと成立しないことになります。

まとめます。
アイドル活動を行ってライブだけで生活を成り立たせるためには、
ソロの場合最低でも年間3,000人弱の有料来場者が、
3人グループなら、6,000人の有料来場者
コンスタントに必要
となります。

もちろん適切な初期投資があり、オリジナル楽曲も最低でも片手くらいはあって、シングルCDも2枚くらいはあると「物販」である程度はカバーできるようになるでしょうが。

いずれにせよ1回のライブあたり100人とか、250人とか、それくらいの規模感で年間を通してお客さんを入れようと思うと、これはどう考えても「ファン層の拡大」を真剣に考えなければならない
という結論に達します。

仮にファンが本当に実数で100人いたとしても、毎月2回、全員が1年間皆勤賞でライブに通ってくれるハズはないからです。

そしてそのためには、再三指摘している
「LIVEにおける感動体験の提供」が必要
になってくる、というわけです。


■アイドルの付加価値をどこに見出すか!?で運営方針が決まる

そもそもアイドルは、ご本人そのものになんらかの魅力がないと成立しないわけですが
(見た目が可愛いとか、ダンスが上手いとか、トークが面白いとか、なんらかのタレント性)、
真剣勝負を挑む皆さんには今やそんなのはあって当たり前。

そうした基本スペック以外に、何かプラスアルファの魅力があって、そこに他のアイドルとは違う付加価値を提示(差別化)していかないとファンを増やすことはできません。

似たようなアイドルがあっちにもこっちにもいるからこそ、
「アイドル戦国時代」などと呼ばれ、
限られたパイ(アイドルファン)の奪い合いが起きているわけです。

AKBグループは、誰もやっていなかった「握手会」など"会いに行ける""触れ合える"ということを最大の付加価値にして勢力を伸長していきましたよね。
CD1枚買ったらコレ、2枚買ったらコレ、という具合に、CDの購入枚数に応じて付加価値の強度を高めた。

★近未来の宇宙を舞台に超銀河アイドルグループ「AKB0048」が大活躍!★


テレビアニメ「AKB0048」PV 第ニ弾 / AKB48[公式]

そしたら他のアイドルたちも、あっという間に追随した。
そういう付加価値が当たり前のマーケットでそれをやらなければ客足が遠のくだけですから、やらざるを得ない。
(小売業と同じジレンマですね)


いっぽうでその"付加価値"を「LIVEの完成度」に求めたのが
ももクロであり、ハロプロ
だった。

両者はいずれもアイドル本人のスペックが高かったことに加え、LIVE制作陣も優秀なスタッフを揃え、「エンターテインメントの質を高める」ことで新規客を開拓していった。

だからももクロハロプロ勢は、CDの売り上げこそAKBグループの後塵を拝していますが、LIVEの動員数はとんでもない規模だし、ファン層も老若男女多岐にわたる。

たとえばLIVE動員に定評のあるももクロは、去年上半期だけで約40万人を動員しています。

★あのセーラームーンももクロがコラボ!!LIVE会場の大迫力もぜひ★


【ももクロLIVE】MOON PRIDE / ももいろクローバーZ(from ももクロ夏のバカ騒ぎ2014 日産スタジアム大会~桃神祭~)(MOON PRIDE/MOMOIRO CLOVER Z)


これに対し、おそらく…。
AKBグループのファンの規模は、一説によると
全国でおよそ10万人強~15万人程度と推計されているそうです(実際のところ海外のファンを含めると実数はもっと多いでしょうね)。
そのファンたちが一生懸命CDを買い支えている

つまりここには、対照的な方針の違いが明確に読み取れます。

  • A:CDの売り上げを伸ばすことでマネタイズするか?

→ただしこの場合CD(音楽)は、アイドル本人に会えるための"おまけ″としての扱い。
その代わり「アイドル本人に会える」ことが価値の本質だから、LIVEパフォーマンスに少々難があっても顧客はそれを問題視しない。

  • B:LIVE動員を増やすことでマネタイズするか?

→クオリティの高いLIVEを実現するには、高いパフォーマンス力が必要。
しかも「LIVEでの感動体験」が価値の本質なので、CDなどのグッズ展開にはあまり期待できない。

あなたがプロデュースするアイドルグループは、ABどちらがより向いているでしょうか?
そして、「より差別化できる」のはどっちでしょうか!?


■最後に生き残るのはどっちだ!?

インセンティブ入手のための手段としてのCD購入。
アイドル本人に会える→会ったうえで何分か話せる→握手など触れ合い体験ができる
一緒に写真が撮れるお食事会に参加できる→ …次は何?

「ハグできる」という特典を付けたアイドルがいました。
「おっぱい揉める」という特典を付けたアイドルもいました。

え…?

それってもはやアイドルじゃないでしょ…?
こんなサービスは、もはや「芸事」ではありません。

結局「特典商法」は、インセンティブをより過激化していかないと成立しなくなる、
いわば消耗戦です。

そうならないように運営が考えることは簡単です。
「メンバーの入れ替え」
新しい顔が出てくれば、しばらくは珍しさのため低強度のインセンティブでも時間稼ぎできますね。
でもそれは、アイドル本人が「使い捨て」の消耗品であることを意味します。

そして、一番肝心なこと。
それで新規ファンが増えますか?
夢を追ってアイドルになった女の子は幸せになれますか?


反対に。

「あのアイドルのLIVEはスゴイ」
という評判が伝われば、それまで特にそのアイドルに興味のなかった人たちも、
「1回くらい見に行ってみようかな?」
となります。
もともとファンの人たちも、アイドルのパフォーマンスそのもの、すなわち「感動体験」をもう一度味わいたくてリピートします。

そのうちチケットは発売と同時に「即完」となるでしょう。
なかなか入手できない、プラチナチケット化します。

そしたらチケット代そのものを値上げすることだって可能です。
需要に供給が追い付かないのですから、供給のハードルを高めたって欲しい人はいくらでもいます。

100人キャパのハコでチケット代を2倍にしても即完するようなら、300人のキャパのハコでも十分チケットを捌けるでしょう。

運営は、LIVEの頻度を下げてファンの飢餓感を煽ってもいいし、それで生まれた時間を使って、よりパフォーマンス精度を上げるためのレッスンに費やすこともできます。

本来の意味での「芸能」活動を進めながら、ビジネスとして成立させることが可能となるのです。

ただ。
「あのアイドルのLIVEはスゴイ」
と評判になるためには、名前だけアイドルを名乗っているようではいけません。
血のにじむようなレッスンを繰り返し、エンターテインメントとしてしっかり成立するLIVEステージを創り上げていく必要があります。

でもこれが、本来のあるべき「アイドル」ではないでしょうか!?

その域に達することのできるアイドルは、現状アイドルを名乗っている人たちの中でもほんの数パーセントでしょう。
残りの大多数はしょせんフェイク、偽物です。
「自称アイドル」では絶対についていけない、厳しい世界です。

そして「ホンモノ」だけが、生き残る。

 

★世界一のアイドルを目指す少女たちの苦悩と奮闘の物語★


TVアニメ「アイドルメモリーズ」プロモーションビデオ


今日の話は「アイドル」を例に出して書いてきましたが、これを「アーティスト」と読み換えても成立する部分がたくさんあります。
これから売り出していこうとお考えのアーティスト各位も、よろしければご参考になさってください。

また文中「LIVE」「ライブ」を使い分けています。
当然ながら本物のパフォーマンスをするほうを「LIVE」
なんとなくやっているパフォーマンスのほうを「ライブ」と記載しています。

次回は、「LIVE」と「ライブ」の違い、見分け方、についてお話していきます。