『昨日より今日はもっと×2!素敵』 BLOG(イケてる大人計画)

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【鈴山キナコ★かわいいオトナ】湯を沸かすほどの熱い愛。選べない血縁より、寄り添える他人がいいよねの巻

湯を沸かすほどの熱い愛★胸に迫る感動、ここに血縁はないのだ。。大人計画でずっと話題になっていた、エムPさんオススメ映画「湯を沸かすほどの熱い愛」を、北九州小倉「昭和館」のスクリーンで観て参りました。

*感想は多分にネタバレを含みますので、鑑賞がまだの方はご注意くださいませ。

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作品は少し前に公開されたものだったのですが、観る前から、色々な見当違いの前評判をツイッターのタイムライン等で見過ぎており(肝っ玉母さん映画とか)、恥ずかしながら私、映画が始まってしばらくは、かなり硬直した心で作品と向かい合っておりました。

 

作品への共感、それは作品の中に自分の居場所があるかどうかということに尽きます。もし私が「湯を沸かすほどの熱い愛」の劇中にポーンと飛び込んだら、登場人物の皆さんから、たちまち排除されてしまうんじゃないか?

 

観客は、そういうことを、映画のポスター、告知映像等のビジュアルイメージから直感的に感じとり、作品に親和性を見出したり、入口で拒絶反応を示してしまったりするんじゃないかと思うのですが。

 

私自身、幸せな機能不全家庭に育ってきたので、大好きだった借金まみれの父親や、毎日タクシーで出勤する父を笑顔で見送っていたノーテンキな母のことを、排除しそうな音楽や小説、映画作品に背を向けようとするココロの癖があって、

 

ついつい、裏社会的な話、ビンボーな話、ダークサイドに堕ちたヒトの話、悪いやつらだけど前向きで元気な連中の話のほうに、安堵感をおぼえ近づいて行く癖があり、(果たしてそこに親和性があるかどうかわかりませんが)タイトルや、始まってすぐの絵ヅラから、「そんな空気」を感じ取った瞬間、「否定されない安心感」に、自分という貝殻の蓋が少し開き、触手がスーッとのびていくわけです。

 

しかし本作に関しては、私が一番苦手とする「最初から最後までいい人しか出てこない話」、そんな雰囲気を、なぜだか感じ取ってしまい、貝の蓋は頑なに閉じたまま、中盤まで鑑賞するという事態になってしまったのです。

 

しかし途中で気がつきます。

これはちがうぞと。
湯を沸かすほどの熱い愛さんは、私の味方作品だぞと。

そこからは、決壊したダムみたいに、涙が洪水状態でした。

 

ありがとう。
ありがとう、湯を沸かすほどの熱い愛さん。
ごめんなさい、あなたは。
ただただ家庭的で、あたたかくて、ハッピーな、お涙頂戴作品なんかじゃなかった。

 

アットホームなビジュアルをしているけど、実に過激なんだね。ぶっ飛んでるんだね。
普通じゃない生き方を余儀なくされた人たちこそが主人公の、とても温かく優しい映画なんだね。

 

あとはラストまで、助けてくれという程、涙をしぼり取られました。

 

ネットにこの作品の悪口を書いてるヒトの中には、私みたいに、誤解したまま、最後まで硬直したココロで見終わってしまったヒトがたくさんいそうだと感じました。

 

だとしたら、もったいない話です。
ぜひもう一度、まっさらな気持ちで観て欲しいです。これは血のつながりがない家族の話なんだよと、最初にバラして安心させたいです。

 

あらすじをかいつまんで説明すると。
浮気ばかりする甲斐性なしの旦那(オダギリジョーさん)に蒸発され、そのうえ余命半年の重病を宣告された主人公・双葉さん(宮沢りえさん)が、学校でのいじめに苦しみ登校拒否するひとり娘(杉咲花さん)を、女手ひとつで育てながら、旦那が放り出した家業の銭湯も、ガッツで切り盛りしていこうと決意する、奮闘記です。

 

学校でいじめに遭う娘に、逃げないことを一生懸命に教えたり、甲斐性なしの旦那が愛人に押しつけられた子供まで引き取り、まるで血を分けた子供のように分け隔てなく接するうえ、その子を実母に遭わせる旅に出る。そんなドラマチックなストーリー展開。

 

しかしこれが、まっすぐな頑張り屋さんの美談では終わらない。予想を裏切ることが、つぎつぎに発覚してゆきます。

 

ずっと血を分けた実子と思って観ていた双葉さんの娘さんが、物語が進むにつれ、実は血のつながりがない子供だとわかる。

さらに双葉さん自身も、育ての親から棄てられた、哀しい過去を持っていたんです。

 

双葉さんを捨てた実の母親への、反面教師的な心情からでしょうか、双葉さんはじつに巨大な母性を宿した女性で、関わる人すべてを幸せな気持ちにするパワーを持っています。

 

そんな生き方をしてる双葉さんだからでしょう、まるで磁石に引き寄せられるように、愛情不足で曲がった人生を送るヒッチハイクの青年や、子連れ探偵が現れ、双葉さんに凍え切ったココロを溶かされ、まるで血縁関係のように、深い絆を築いてゆきます。

 

自分自身を思い返すと、私は両親こそ大好きでしたが、血縁だとか、身内だとか、親類縁者にはろくな人間がおらず、絶望的な感覚しか持てなくて、
道すがら、ほがらかで優しい人に会うたび、

ああ、こんな人が親戚だったらいいのに。

とか、

でもこんないい人でも、身内として付き合うと、イヤな面をむきだしにしてくるんだろうか。

なんて考えてしまうことが、今まで多かったです。

 

でも、この作品に出逢えて、血のつながりなんかにこだわることはない。血縁は、自分で作っていけばいいんだ、と、確信しました。

 薄々感じてはいたことですが、これは私の人生において、最大の気づきになりました。

 

作品では、双葉さん亡きあとにも、双葉さんに関わって人生観が変わった人たちが、双葉さんを慕い、家族的に集まり、銭湯を協力して盛り上げて行きます。

 

アカの他人同志が寄り添い合って、ファミリーを形成しているんです。なんて素晴らしい関係性なんでしょう?

私もそんな関係性が結べるよう、必要だと思ってもらえるよう、素直な気持ちで自分が信頼する人たちと向かい合い、自分を磨いていかねば、と考えさせられました。

 

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血縁関係は、選ぶことができません。

そこに悲劇があります。

しかし、アカの他人は、寄り添ったり、離れたりできます。自由で、緊張感があって、愛情のぶんだけ、いくらでも深くつながり合えるんです。


湯を沸かすほどの熱い愛は、涙から始まる、アットホームストーリー。半端もの許すまじのアットホームではありません。

私はここにいていいし、私だけじゃない。どんな人も、迎えてくれ、許される世界なんだと。そんな演歌的優しさを、感じた作品でした。

 

作品中、赤い色が随所に効果的に使われるんですが、赤い糸、血の縁(えにし)、そんなイメージをふくんでいるのが伝わってきて、ラストシーンに立ち昇る赤いけむりに、先に旅立っていった双葉の、残された疑似家族たちへの思いを感じて、最後まで涙が乾きませんでした。

 

 あまりに斬新で、大胆な、驚愕のラストシーンはバラしませんので、ぜひ、ご覧になっていただきたいです。

 

(明日へ続く)